松商は同点で迎えた9回裏2死1、3塁のピンチに、足立監督は「勝負するか、満塁策か、自分たちで決めろ」松山直弘主将が伝令に走った。
打席はここまで2安打と好調の地球環境4番打者横田君。
4番を敬遠してこの試合太田君が2三振を奪っている5番打者と勝負するか。松山主将が選択を迫った。
太田君は「逃げたくない、勝負する」と自信を持って即答。
集まった内野陣全員が納得した。
太田君は5回途中から救援、威力のある直球で8回まで1失点に抑え粘りの投球を見せてきた。それだけに山崎君も太田君の判断には異論がなく
「全員で意思統一が図られた」と振り返る。
山崎君のミットは内角低めに構えたが、太田君が最も自信のある直球で本人いわく「ベストボールだった」球が甘く入りライト前に。
太田君は冬場の走り込みや投げ込みを人一倍積み重ねた。
試合後松山主将は「頑張りを知っているから、あの選択に後悔はない」と泣きじゃくる太田君の肩を支えながら言い切った。
涙で目を腫らした太田君は「自分のボールに後悔はない。でもこの仲間ともっと長い夏を過ごしたかった」と声を絞り出した。
山崎君も「逃げてはだめだと思った、あそこで勝負してよかった」
主将の松山君
創部100周年の節目に甲子園出場を期待する声は多く、主将への負担も例年以上に重くのしかかった。106人の部員を束ねる大仕事も。
苦しい時もあったが、「100周年をプレッシャーでなく誇りに思いやってきた。この前向きさがチームを支えた。
「今夏に味わった1球の重みを練習から大事にしてほしい。この借りを来夏と言わず秋に返してほしい」
以上中日、信毎、スポニチ、市民タイムスの記事でした。
そして松商野球部を愛して止まない球友会の小林さんから以下のメッセージをいただきました。
最後の場面、新聞を見てなるほどと思いました。もし昨年、一昨年甲子園の土を踏んでいたなら勝負ではなく勝利にこだわったかもしれません。それだけ甲子園
というのは特別な場所のような気がします。
3年生は入学当初から100周年を期待されて、少し気の毒のようにも見えましたが、3年間よくがんばってくれました。
山崎君は桐光の松井と上の舞台で対戦できるような存在になってほしいです。
近いようで遠い甲子園、
松商が復活してくれる日が待ち遠しいです。
秋の大会もあっという間に。投手を中心とした守りの野球を目指して、厳しい夏を乗り切ってください。新チームに期待。
試合から数時間後夕暮れの松商野球部のグランドには照明が。松山主将の気持ちが後輩に伝わった、そんな一コマ |